1月第2日曜日午前10時過ぎ。
私は、前橋市上泉町の『どんど焼き』会場の片隅に立っていた。
会場は毎年、ダイキョーのお客様でもあるS氏の田んぼを使わせてもらっている。
竹で組んだ櫓(やぐら)の手前には、『祝・昭和100年』と書かれた看板が掲げられていた。
したがって、昭和38年生まれの私は今年62歳になる。
それは、さておき。
神主が祝詞(のりと)をあげ、出席者一同『二礼二拍手一礼』の作法でお参りをする。
そして10時30分、櫓に点火。
あっという間に炎が燃え上がる。
この中には一年間ダイキョーを守ってくれた三体のだるまが納めてある。
3日前の夜。
前橋の初市に、私とわが家の実力者の姿を見ることが出来る。
初市のメインストリートは、元日のニューイヤー駅伝でゴール前の直線になる国道50号線である。
車両通行止めになった道路の両側には、様々な屋台がギッシリと並び、大勢の人達が行き交っていた。
私と彼女は、その人波を掻いくぐっていつもの店に向かう。
そこには、目当てのだるまが今年も揃っていた。
櫓が燃えている間、地元のご婦人有志が踊りを披露する。
お囃子(はやし)は美空ひばりの『お祭りマンボ』。
この日に合わせて猛練習したのであろう。
踊りは、お囃子にピタリと合っていた。
ここから南方300メートルの位置にイエローカラーのダイキョー事務所が見える。
事務所には、目を入れる前のだるま三体がデスクに置かれている。
『片目じゃ、だるまさんも見通しが利かないだろ。』
これは31年前、私の自宅を建てた大工の棟梁の言葉で、私はその考え方が妙に気に入り、それ以来、だるまには両目を入れている。
役目を終えた三体は、炎と共に天に上った。
1階ショールームには黄色、2階事務所には金色、3階会議室には黒色。
今年の三体も、スタッフ全員が入れた両目で、一年間ダイキョーを見守ってくれるはずである。