7月第3週は、まだ梅雨の候。
私は、先週末から続く長雨に悩まされていた。
ヨシザワ家の家事担当者として、毎年、この季節の天候には気を遣う。
それは、洗濯物の乾きについてである。
わが家では一日にハンドタオルを7枚使い、それがそのまま洗濯物に変わる。
梅雨時は、あの不快な生乾き臭が発生しやすい。
『タオルがクサーい!』
朝の洗顔の際、わが家の実力者が洗面所で叫び声を上げる。
対策として、私は消臭効果のある薬剤を多めに入れ、部屋干しの時は乾燥機も投入する。
それでも思わしくない結果の毎日に、「もう、梅雨が明けるまでは、どうしようもない」と諦めかけた矢先。
ビッグニュースが飛び込んできた。
アメリカ女子プロゴルフツアーを転戦している『古江彩佳』選手のことである。
フランスで開催されていたメジャー大会のエビアン選手権。
実はこの3週間前。彼女はシーズン当初から熱望していたパリオリンピック代表入りを土壇場で逃していた。
「落ち込んでいるだろうなぁ、大丈夫かなぁ。」
大ファンの私としては、その後の彼女のパフォーマンスに影響があるのではないかと、気掛かりでならなかった。
そして大会最終日。強豪たちを前に彼女は次第に遅れをとり、終盤に入るにつれ、その差は開いた。
「もうダメか!」
テレビ放送も、彼女の敗色が濃厚であるようなコメントに変わりつつあった。
ところが、彼女は大逆転で優勝してしまうのである。
卓越した技術があってこその奇跡ではあるが、もう一つの理由は意外に簡単で、『最後まで諦めなかった』ことだったようである。
『オリンピックには出られませんでしたが、このフランスで、メジャーのチャンピオンになれて、その悔しさを晴らせた気がします。』
テレビ観戦していた私も、一緒に泣いた。
「諦めてはいけない、最善を尽くすのだ!」
私は再度、生乾き臭に挑戦する決意をしたのである。