毎月一日に発行される『Sunらいふ』。
原稿の締め切りは、その1か月半前が通常だが、今月号に関しては編集長から『3日前倒し』のお達しが出ていた。
しかも、『年末年始なので、締め切り厳守でお願いします。』の一言が添えられた。
昨年12月の厳しい締切日は、29回目を迎える私達夫婦の結婚記念日と重なっていた。
折角なので、今月はそれに関連した話を書こうと思う。
・・・29年前のその日、新婦のキミコがわが家に嫁いできた。
そこには、私の母・シゲコが健在で、私より3歳年下の弟もいた。
キミコは沼田市の女子高を卒業すると前橋市の百貨店に就職し、数年間は一人暮らしの自由を謳歌していた。
それが結婚を機に、生活習慣の違う3人との同居が始まったのである。
(もし、俺が彼女の実家に婿入りしたら・・・)。
こう想像すると、とても私には務まらないことだが、彼女は誠意をもってその生活を始めた。
今でも忘れないが、弟が結婚のため家を出るときに、彼女は一冊の通帳とハンコを彼に渡した。
それは、彼が家に入れていた生活費を、そっくり貯金しておいたもので、私も知らないことだった。
女手一つで私と弟を成人させた『強き母』・シゲコも『キミちゃん、キミちゃん』と、すっかり彼女を頼りにし、のん気な隠居生活を決め込んでしまったのには私も驚いた。
そして12年前の2月1日。
甘えついでだったのか、死に水まで彼女に取ってもらったのである。
もちろん、エピソードはこれだけではないが、私が彼女を『わが家の実力者』と呼ぶようになった所以(ゆえん)であることは間違いない。
・・・結婚記念日が締め切り日に、発行日が母の命日に重なったことにより、このコラムが書き上がった。
今年、私達夫婦は結婚30年、母シゲ子は13回忌を迎える。