しばらく続いた雨も上がり、梅雨の中休みとなった6月16日。
時刻は17時40分。
社長室の窓から駐車場に目をやると、ついさっき『お先に失礼します!』と言った事務所スタッフの3人が並んで歩いていた。
そして、敷地の入り口付近で風になびいていた『のぼり旗』を手分けして外し始めた。
『リフォーム』の文字が印刷されているそれらを毎朝、その日のショールーム当番が立てておくのである。
外した『のぼり旗』を片付けると、3人は手を振り合った後、それぞれの車に乗って帰路についた。
駐車場の前を通る県道では、車の量が次第に多くなって行く。
県道を挟んだ向かいは小学校で、その先の空には真夏を思わせる雲が湧き上がり、校舎と共に西日に照らされていた。
この日は、第3金曜日。
ダイキョー勇士会役員会議の日である。
開始時刻は18時30分。
会議方法はオンライン形式なので、自宅や事務所、車中等から参加出来るためか、出席率が非常に高くなることが、やってみてわかった。
私はパソコンの画面を、この原稿からテレビ電話に切り替える。
既に参加者が集まっていたので、定刻前に会議が始まった。
1時間を超える議論の末、役員会としての意思がまとまり、閉会した。
再び窓に目をやると、14時間余り地上を照らし続けた太陽は西の山陰に姿を消していた。
県道を走る車の量も減り、辺りは夜の静寂に包まれ始めている。
このあと、有志が集まる懇親会会場に心と足が向きかけたが思いとどまり、私は再びこのページを開いた。
そして書き進めるうちに、時刻は21時になっていた。
『ブルルッ』。
手元に置いてあったスマホのバイブが震えた。
病院から帰宅した、わが家の実力者からのメールだった。
『今夜は、どこだ!』
容赦のないメッセージである。
(こんな風に疑われるのなら、いっそのこと原稿は明日に回して、懇親会に行って生ビールを飲めばよかった。)
そう思ったが・・・。
残念ながら、あとの祭りだった。