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社長コラム

2023/08/01 その他

『あとの祭り』

 しばらく続いた雨も上がり、梅雨の中休みとなった6月16日。

 時刻は17時40分。

 社長室の窓から駐車場に目をやると、ついさっき『お先に失礼します!』と言った事務所スタッフの3人が並んで歩いていた。

 そして、敷地の入り口付近で風になびいていた『のぼり旗』を手分けして外し始めた。

 『リフォーム』の文字が印刷されているそれらを毎朝、その日のショールーム当番が立てておくのである。

 外した『のぼり旗』を片付けると、3人は手を振り合った後、それぞれの車に乗って帰路についた。

 駐車場の前を通る県道では、車の量が次第に多くなって行く。

 県道を挟んだ向かいは小学校で、その先の空には真夏を思わせる雲が湧き上がり、校舎と共に西日に照らされていた。

 この日は、第3金曜日。

 ダイキョー勇士会役員会議の日である。

 開始時刻は18時30分。

 会議方法はオンライン形式なので、自宅や事務所、車中等から参加出来るためか、出席率が非常に高くなることが、やってみてわかった。

 私はパソコンの画面を、この原稿からテレビ電話に切り替える。

 既に参加者が集まっていたので、定刻前に会議が始まった。

 1時間を超える議論の末、役員会としての意思がまとまり、閉会した。

 再び窓に目をやると、14時間余り地上を照らし続けた太陽は西の山陰に姿を消していた。

 県道を走る車の量も減り、辺りは夜の静寂に包まれ始めている。

 このあと、有志が集まる懇親会会場に心と足が向きかけたが思いとどまり、私は再びこのページを開いた。

 そして書き進めるうちに、時刻は21時になっていた。

 『ブルルッ』。

 手元に置いてあったスマホのバイブが震えた。

 病院から帰宅した、わが家の実力者からのメールだった。

 『今夜は、どこだ!』

 容赦のないメッセージである。

 (こんな風に疑われるのなら、いっそのこと原稿は明日に回して、懇親会に行って生ビールを飲めばよかった。)

 そう思ったが・・・。

 残念ながら、あとの祭りだった。

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