2010/08/01
その他
夏の買い物
先日、買物を頼まれて立ち寄ったスーパーでのことです。
入口付近のいちばん目立つ場所にビールの箱が積まれ、『社長さん、一杯いかがですか?』とポスターのきれいなお姉さんが私に微笑みかけてきました。
一瞬フラリとしたのをこらえて歩いて行くと次に目に入ってきたのは色とりどりの花火のセット。
「あー、そろそろ花火の季節だなぁ」。
もう買い物のことは忘れています。
このとき私が思い出していたのは、浴衣姿の若い娘さんが何人も団扇を帯に差し、鈴の音をさせて歩いて行く光景です。
・・・20数年前の8月15日、わが家の前を通る道は、夕方から人があふれかえっていました。
普段は人通りなどない狭い路地に屋台まで出店するにぎわいは、ちょっと不思議な思い出としてよみがえります。
これは、今でも開催されている前橋花火大会の人出によるものでした。
利根川の河原から打ち上げられる花火はわが家に非常に近く、家が揺れる程の音が響き、花火が描く輪も視界に入らないくらい大きなものでした。
見上げる首も疲れるので、地面に仰向けに寝転がって花火を見ていた記憶さえあります。
そんなところで育った私は、同じ花火を打ち上げ場所から数キロ離れた現在の家から初めて見たとき「なんだか線香花火をひっくり返したようなカタチだね」と言って笑ったのを覚えています。
富士見町のここからは寝転がって見る必要もなく、落ち着いて椅子に腰かけ、『トカン』とかわいい音のする『逆さ線香花火』を、缶ビールと一緒に楽しむことが出来るのです。
・・・店内を一回りして頼まれた食材をあつめたあと、『お帰りなさい。』と微笑むポスターのお姉さんに、「ただいま」と言って6本入りの缶ビールを手にした私なのでした。